ネクスト・ソサエティ

トフラーの「富の未来」と重なるところ多く、巨人が見据えているところは同じなんだなあと感じた。10年前に書かれているのがすごい、まさにこの本の通りになっており、未来の行方の中で自分がどのような進路をとっていくべきなのか考える材料を与えてくれる。
p40企業のパラダイムの変化
1.知識が主たる生産手段、すなわち資本となった。したがっていまや知識労働者が資金の提供者と同じように資本を提供している
2.フルタイムの正社員からパートタイムまたはアウトソーシング先の社員に移行している
3.最も生産的なマネジメントは統合ではなく分散であることが明らかになった
4.情報は顧客が持つようになった。供給者たるメーカーは売り手であることをやめ、消費者のための買い手にならなければならなくなった
5.いかなる産業、企業にも独自の技術というものがありえなくなった
p48知識労働者にとって重要なことは
1.組織が何をしようとしており、どこへ行こうとしているかを知ること
2.責任を与えられ、かつ自己実現すること
3.継続学習の機会を持つこと、彼らの専門分野に敬意が払われること
p63組織が生き残りかつ成功するためには自らが変革機関とならねばならない。変化をマネジメントする最善の方法は自ら変化を作り出すことである。そのためには
1.成功していないものはすべて組織的に廃棄する
2.あらゆる製品、サービス、プロセスを組織的かつ継続的に改善する
3.予期せぬ成功、計画外の成功を追求する
4.体系的にイノベーションを行う
変革機関たるための要点は組織全体の思考態度を変えることである。全員が変化を脅威でなくチャンスとして捉えるようになることである。
p93知識労働の成果の評価
1.あなたの強みは何か、どのような強みを発揮してくれるか
2.何を期待してよいか、いつまでに結果を出してくれるか
3.そのためにはどんな情報が必要か、どのような情報を出してくれるか
p128インターネットが教育に与えるインパクトは、企業に対するよりもはるかに大きなものになる。全体として知識労働者の労働可能年限のほうが、雇用主たる企業の寿命よりも長くなる。歴史上初めてのことである。これからは誰もが高度の知識しかも専門化した知識を持たなければならない。その結果高等教育の重心が若者の教育から成人の継続教育へと移行していく。
p129今日の組織構造はマネジメントの階層を基本に組み立てている。それらの階層はほとんどが情報の中継器にすぎない。他のあらゆる種類の中継器とおなじように出来が悪い。情報は伝えられるたびに内容が半減する。これからはマネジメントの階層が急減する。その代わりに情報を中継すべく残された者はきわめて有能でなければならなくなる。
p131いわゆる創造的破壊をどうお考えか? おそろしく重要だ。しかも常時のものとして組織だって行う必要がある。実例をご紹介したい。かなりの規模の企業である。すでに世界のリーダー企業になっている。そこでは3ヶ月毎に何人かの若手を集め製品、サービス、プロセス、戦略について、すでに手がけていなくともそれを行うかを検討させている。答えがノーならばどうすべきかを検討させる。こうしてあらゆる製品サービスプロセスを4、5年ごとに廃棄するか大幅に手直ししている。この方法によって成長と収益性を実現している。老廃物は捨てねばならない。人の身体はそうしている。ところが組織では強い抵抗が出てくる。容易ではない。しかし廃棄の効果は大きい。組織一人ひとりの心構えと組織そのものの姿勢を変える。
p264アメリカでは安全保障が脅かされているときを除いて最も重要なものは経済である。しかし日本にとっては最も重要なものは社会である。アメリカ以外の先進国では政治にとって経済は唯一の関心事ではないしもちろん最大の関心事でもない。経済は制約条件に過ぎない。社会こそ最も重要である。


ネクスト・ソサエティ ― 歴史が見たことのない未来がはじまる

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