ブルー・オーシャン戦略

目的に向かってフレームワークをきっちり提示しておりとても読みやすく、実行までの落とし込みが具体的にできるよう作りこまれた本。新戦略では「何を考えたらよいか」のところが一番難しく、いままで「ひらめき」の世界かと思っていたことが順序に沿って対応できるようになっているところがすごい。書籍という形で個々の事例を読ませながら全体のつくりは「仕様書」といってもいいくらい枠組みと順番がしっかりしている
第1章 ブルー・オーシャン戦略とは何か
ブルー・オーシャン戦略−新しい市場空間を切り開き、需要を大きく押し上げる戦略的打ち手
ブルー・オーシャン戦略の土台:バリュー・イノベーション−バリューイノベーションとはコストを押し下げながら買い手にとっての価値を高める状態を意味する。コストを下げるには業界で常識とされている競争のための要素をそぎ落とす。買い手にとっての価値を高めるために業界にとって未知の要素を取り入れる。すると時が経つにつれて優れた価値に引き寄せられるようにして売上が伸びていき規模の経済性が働くためいっそうのコスト低減が実現する
第2章 分析のためのツール
戦略キャンバス→価値曲線:横軸競争要因、縦軸買い手の享受レベル
四つのアクション→取り除く、減らす、増やす、付け加える
アクションマトリクス→四つのアクションの補完分析手法
優れた戦略に共通する三つの特徴
①メリハリ②高い独自性③訴求力のあるキャッチフレーズ
第3章 市場の境界を引き直す(策定の原則1)
市場の境界を引き直すための6つのパス
パス1:代替産業に学ぶ パス2:業界内のほかの戦略グループから学ぶ パス3:買い手グループに目を向ける パス4:補完財や補完サービスを見渡す パス5:機能志向と感性志向を切り替える パス6:将来を見通す
第4章 細かい数字は忘れ、森を見る(策定の原則2)
戦略をビジュアル化する4つのステップ
ステップ1:目を覚ます ステップ2:自分の目で現実を知る ステップ3:ビジュアル・ストラテジーの見本市を開く ステップ4:新戦略をビジュアル化する
第5章 新たな需要を掘り起こす(策定の原則3)
「非顧客層」の「共通点」に注目、脱セグメンテーション
非顧客層の三つのグループ
第1グループ:市場の縁にいるがすぐ逃げ出すかもしれない層 第2グループ:あえてこの市場の製品やサービスを利用しないと決めた層 第3グループ:市場から距離のある未開拓の層
第6章 正しい順序で戦略を考える(策定の原則4)
買い手にとっての効用:この事業アイデアは比類ない効用をもたらすか?→価格:多くの人々にとって手を伸ばしやすい価格か?→コスト:価格競争力を保った上で利益のある水準までコストを下げられるか?→実現への手立て:このアイデアを実現する上での障害は何か?事前に対策をとっているか?
第7章 組織面のハードルを乗り越える(実行の原則1)
戦略実行に伴う組織面の4つのハードル
意識のハードル(現状に浸りきった組織)経営資源のハードル(限られた経営資源)士気のハードル(やる気を失った従業員)政治的なハードル(強大な利害関係者からの抵抗)→ティッピングポイントリーダーシップで乗り切る:大勢を動かすためにまずはきわめて大きな影響力を持つ人や活動に働きかける。それによって低コストで速やかに戦略転換を実現する
意識のハードルのTP:みなの目の前に厳しい現実を突きつけ肌で触れさせる
経営資源のハードルのTP:重点領域、非重点領域を見極め資源交換をする
士気のハードルのTP:中心人物に接近する、中心人物を「金魚鉢」に入れる、細分化を通して組織の自己変革を促す
政治的なハードルのTP:守護神(戦略変更によって誰よりも大きな利益を得る勢力)に頼り、大敵(戦略変更によって最も大きな損失を受けそうな層)を黙らせ、経営陣にアドバイザー(駆け引きに長けていて大いに信頼できる人物)になってもらう
第8章 実行を見すえて戦略を立てる(実行の原則2)
公正なプロセスで戦略を策定実行する(関与・説明・明快な期待内容)
戦略策定プロセス→公正なプロセス:取り決め、説明、明快な期待内容/従業員の姿勢→信頼と関与:「自分の意見が重んじられる」/従業員の行動→自発的な協力:「義務を超えて協力しよう」/戦略の実行→期待を超える水準:みなが進んで実行